
今日は、私の仕事の話を少し。
私は接客業を始めて、30年以上になります。
現在の職場は、勤続23年目。
その間、歴代店長は何人も入れ替わりました。
気がつけば私は……『生きた化石』です(笑)。
そんな私に、先日、本社から「現場の意見を聞かせてほしい」と声をかけていただきました。
せっかくの機会なので、現場で感じていることを率直に伝えました。
■ 現場が抱える「少人数体制」の限界
コロナ前はスタッフの人数も多く、手厚いサービスができていました。
ところが現在は少人数体制。
来客数がコロナ前の水準に戻りつつある中で、高級店としてお客様が期待されるサービスに、十分お応えできない場面が増えていると感じています。
実際、
・お客様への応対が行き届かない
・ミスやチェック漏れが増える
といったことも、以前より確実に増えています。
もちろん、現場も何もしてこなかったわけではありません。
その都度、どうすれば改善できるのかを考え、スタッフ同士で工夫してきました。
でも、正直なところ、今の体制では限界に近づいています。
それでも現場には『人件費削減』という指示が中心。店舗ごとの工夫や判断に任されている部分も多くあります。
だからこそ、店舗だけに任せるのではなく、会社として全店共通の仕組みや支援体制を作ってもらえたらと思い、いくつか提案しました。
■ 本社へ伝えた「ハード面」と「ソフト面」の提案
〈ハード面でできること〉
新メニューに関するものは、店舗ごとではなく、本社で統一して準備する。
店頭ディスプレイや掲示メニューも、専門チームが季節ごとに入れ替える仕組みにする。
そうすれば、現場の負担を減らしながら、店舗ごとのばらつきを抑え、ブランドイメージの統一にもつながります。
〈ソフト面でできること〉
システムの効率化を進めて、業務にかかる時間を少しでも減らす。
その分、お客様と向き合う時間を増やす。
そして、専門チームが店舗に出向き、定期的に接客研修を行う。
サービスの質を安定させるだけでなく、スタッフが「これでいいのかな」と不安を抱えながら接客することも減らせると思います。
もちろん、提案がすべて通るとは思っていません。
会社にも会社の事情があります。
■ AIに「人を思いやる気持ち」は置き換えられるか
世の中が大きく変わっていることも、私自身、十分わかっています。
人手不足、人件費、業務の効率化、そしてAI。
『将来、接客業の多くはAIに置き換わる』と言われることもあります。
確かに、AIだからこそできることは、これからどんどん増えていくでしょう。
でも。
私は、接客という仕事そのものがなくなるとは思っていません。
人の表情を見て、今日は何かあったのかな?と感じる。
声のトーンを聞いて、少し疲れていらっしゃるのかな?と気づく。
料理を運んだときのほんの一言や、帰り際の「ありがとうございます」の声。
その場の空気を感じながら、その人に合わせて対応する。
目で見て、耳で聞いて、言葉を交わして、時には空気まで読む。
人間の五感を使って、人と人が接する。
そういう仕事まで、AIにすべて置き換えられるとは、私はどうしても思えないんです。
もちろん、AIに任せられる仕事はどんどん任せればいい。
その分、人間にしかできないことに時間を使えばいい。
私は、そう思っています。
■ 私がこの仕事を続けている理由
そして何より。
楽しみにして、この店を訪れてくださるお客様が一人でもいる限り、来てよかったと思って帰っていただけるようにしたい。
30年以上、接客の仕事をしてきた私が、今もこの仕事を続けている理由は、きっとそこにあるんだと思います。
〈ホスピタリティ=対価を期待せずに相手を思いやり、心を込めて接すること〉
時代は変わる。
仕事の形も変わる。
でも、人が人を思いやる気持ちまで、なくなることはない。
私はそう信じています。
