
今回は、私たちのすべての起点となった病気。
〈くも膜下出血〉について書きたいと思います。
■ バットで殴られたような痛み……ではなかった
夫が倒れたあの日。
最初に異変を知らせてくれたのは、本人からの電話でした。
「服を脱ごうとして、くしゃみをした後、膝に力が入らなくなった」
当時の私は、くも膜下出血と聞くと、
『突然、バットで殴られたような激しい頭痛が走り、その場に倒れ込む』
そんなイメージを持っていました。
だから正直、夫のように電話で『普通に話せる状態』から、くも膜下出血につながるということが、
すぐには理解できませんでした。
夫は本当に、普通に会話をしていたからです。
■ なぜ「普通に会話」ができていたのか?
あの大病のあと。
夫はなぜ普通に話せていたのか。同じような症例があるのか。
どうしても気になって、自分なりに調べてみました。
くも膜下出血の原因の多くは、脳の血管にできた『脳動脈瘤(こぶ)』が破裂することだと言われています。
そして、破裂して出血したあとでも、血液を固める成分などによって、一時的に出血がピタリと止まることがあるそうです。
つまり。
一度出血したあとでも、一時的に状態が落ち着いていることがある。
そのため、意識がはっきりしていて、普通に会話ができるケースもあるようなのです。
夫も、もしかしたらそういう状態だったのかもしれません。
■ 本当の恐怖。時間差で襲う「3つの合併症」
ただ。
くも膜下出血の本当の怖さは、ここからでした。
『搬送された時に状態が良くても、その後、急激に悪化する可能性がある』
くも膜下出血は、発症した瞬間を乗り切ったから大丈夫という病気ではありません。
その後も、命に関わるさまざまな合併症が起こる可能性があります。
① 再出血
一度止まった出血でも、再び出血することがあります。
再出血が起きれば、それまで普通に話せていた人が、急激に意識を失うこともあります。だからこそ、症状が少し落ち着いたからといって安心はできません。
② 脳血管攣縮(スパズム)
くも膜下出血のあと、脳の血管が細くなり、脳への血流が悪くなることがあります。
これによって脳梗塞を起こし、突然、言葉が出なくなったり、手足が動かなくなったりする可能性があります。時間差で起こるこの合併症にも注意が必要です。
③ 水頭症
頭の中に出た血液が、髄液の流れを妨げることで起こります。
最初は元気そうに見えていても、徐々に反応が鈍くなったり、意識がはっきりしなくなったり、つじつまの合わないことを言ったりすることもあります。
つまり。
『くも膜下出血は、最初に普通に話せていたとしても、決して安心できる状態とは限らない』
そういう恐ろしい病気なのだと思います。
■ 「二日酔いかな?」と放置しなくて、本当によかった
このことを知って、あの日のことを改めて思い返しました。
ベッドで横になっていた夫。
正直に言うと、普段なら、「また二日酔いのせいやん」
と言っていたかもしれません。
頭痛薬を飲んで、寝ていたらそのうち治る。
そう思って放置していた可能性も、十分にあります。
でも、あの日は何かおかしいと感じて、救急車を呼びました。
そして今になって、心の底から思います。
本当に、すぐに電話してよかった
■ 普通に話せても、迷ったら「#7119」へ相談を
私自身もそうですが、多くの人が、
『救急車を呼ぶほどのことかな?』
『もう少し様子を見た方がいいかな?』
と、迷うと思います。
救急車を呼んで、大したことじゃなかったら申し訳ないと思ってしまうこともある。
でも。
もし迷った時。自分で判断できない時。
一度、救急(#7119などの救急安心センター)に相談してみる。
それも大切なことだと思います。
特に、突然起こった激しい頭痛や、いつもと違う頭痛。
ろれつが回らない。
手足に力が入らない。
意識がおかしい。
そんな症状があれば、迷わず救急要請が必要です。
もちろん、すべての頭痛がくも膜下出血ではありません。
でも。
くも膜下出血は、時間との勝負になることがあります。
夫が『普通に話せていた』からこそ。
私は余計に、このことを伝えたいと思っています。
普通に話せるから、大丈夫とは限らない。
そして、迷ったら相談する。
あの日、自分が救急車を呼んだ判断が間違っていなかった。
今も、夫が目の前で生きているからこそ。
改めて、強くそう思っています。
